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バフォメットファンを自称する    INTエルフ。風属性。     ゴスロリ大好き。


by cursedbird
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星降る川に

しまったペースミスった。
七夕きちまった。






そして7月6日。ついにこの日がやってきた。
思った以上にお父さんが粘ったけど、相手が隆ちゃんだということと、最後だから、という言葉についに折れてくれた。
空がうっすらと明るさを帯びる午前5時。私は家を出て、隆ちゃんの家の前に来た。
ガレージのほうから音が聞こえてくる。
「あ、おはよう薫ちゃん。」
「おはよう、隆ちゃん。」
実は、「まだ寝てるかな?」なんて思っていたから、少し驚いた。
隆ちゃんは昔から朝が苦手で、隆ちゃんのお母さんの怒鳴り声が目覚まし代わりだった。
「ん、どうしたの?」
「ううん、なんでもない。」
いつの間にか、笑いが顔に出ていたみたいだった。
だけど、考えを中断させてくれた隆ちゃんに感謝する。
だって、おばさんは……。
「それより、すごい準備だね。」
せっかく中断した考えが、また出てきた。
私は強く頭を振って、隆ちゃんと話をすることにした。
「そうだね。予定通りに行けばいいんだけど、念のためにね。」
すごい準備、というのはバイクの後部に取り付けられたもののコトだ。
左右に吊り下げる感じで箱のようなものが取り付けられていた。
ちょうど今、隆ちゃんがその上に丸いものを縛り付けている。
「よし、っと。薫ちゃん、準備はいい?」
「うん。大丈夫。」
「うん。それじゃ、行こうか。

隆ちゃんにバイクの後部座席への乗り方を説明してもらって、なんとか座る。
前に座る隆ちゃんの背中は大きくて、固くて、温かかった。
「大丈夫?乗り心地悪くない?」
「大丈夫。隆ちゃんこそ、背中痛くない?」
正直な話、初めてのバイクはすごく怖い。だから、隆ちゃんにしがみついている。
そのせいで、かぶっているヘルメットが、隆ちゃんの背中に思いっきり押し付けられていた。
「平気だよ。それじゃ、出発するよ。」
やがて、爆音が響いて、ゆっくりとバイクが進み始めた。
by cursedbird | 2007-07-07 13:51 | 小説